お掃除まにあ

苛性ソーダは本当に、お風呂掃除の最終兵器になりえるのか

2017.4.17

お風呂場の頑固な汚れというものは、多くが長年の汚れの蓄積によって起きるものがほとんど。

そのため、これを落とそうと思った時には、何度も何度も時間をかけて落としていかなければいけないことになります。

特に、お風呂の排水口の詰まりのように、手の届かない場所の掃除には、手の出しようがない!と嘆いている人もいるでしょう。

そんな時に有効だと一部で言われているのが”苛性ソーダ”です。

この苛性ソーダがどんなものなのか、本当にお風呂場掃除に使えるのかを見ていきましょう。

お風呂場掃除の最終兵器? 苛性ソーダとはそもそもどんなもの?

まず、そもそも苛性ソーダとは、一体どんなものなのでしょうか?

苛性ソーダの正式名称は”水酸化ナトリウム”であり、非常に強いアルカリ性の性質をもった化学物質であり、工業的には様々な場面で使われる、基本的な化合物です。

実はこの苛性ソーダ、一部のある趣味を持っている人にとっても、身近なものです。

その趣味とは、”石鹸作り”。

手作り石鹸を作る際、オイル(油)などの材料のほか、この苛性ソーダは欠かせないものです。

と、こう聞くと「石鹸の原料なら、肌にも優しい薬品では?」と思うかもしれませんが、それは大間違いです。

この苛性ソーダは、毒物及び劇物取締法及び薬事法で劇物指定をされているものです。

強アルカリ性の苛性ソーダは、タンパク質を分解する力が強く、肌に付いた場合には、化学やけど(化学物質により、肌がやけどと同じ損傷をうける症状)を起こす他、誤って口に入れた場合には、死亡することすらある、取り扱いに最新の注意を払う必要があるものです。

ただ、タンパク質を溶かすその性質から、お風呂掃除では、髪の毛等で詰まった排水管の掃除や、こびりついた皮脂掃除に適していると言われます。

お風呂掃除に苛性ソーダは有効。しかし細心の注意と知識が必要!

事実、市販の配管掃除用の洗剤の中にも、この苛性ソーダと塩素系漂白剤が含まれているものがほとんどです。

配管に詰まった髪の毛などのタンパク質汚れを苛性ソーダで溶かし、かつ、漂白剤により苛性ソーダでは落とせない汚れや雑菌を除菌する効果があります。

そして、苛性ソーダは大半の排水管に使われている塩ビパイプを腐食しないため、お風呂場の詰まりや、こびりついた皮脂汚れに有効ではあります。

ただ、先に述べた通り、苛性ソーダは劇物であり、手肌への付着は勿論、その粉末などが目、鼻、口に入ることも絶対に避けなければなりません。

そしてそもそも購入の際には、処方箋薬局のような、薬剤師が常駐している薬局で、身分証明書と印鑑が必要になります。

更に、残った苛性ソーダの廃棄に関しても、自治体によっては産廃業者などに依頼する必要があるなど、多くの制約が発生するものです。

勝手に一般ごみと捨ててしまうと、他のゴミの水分と混じって発火などの恐れがある・作業員の健康を脅かす可能性があるからです。

保管にも注意が必要で、少量の水(空気中の湿気でさえ)が加わっただけで、激しい化学反応を起こし、火災の原因にもなり得ますし、金属を腐食(傷つける・溶かす)性質もあるため、アルミやステンレス製品を変色・傷つけることになります。

苛性ソーダをお風呂掃除に使う時のリスクは非常に高い

以上のことを考えても、こうした劇物の取り扱いの知識がない人が、お風呂掃除のためだけに苛性ソーダを使うことは、あまりおすすめできません。

特に、小さなお子さんやペットがいるご家庭では、絶対に手の届かない場所に保管する必要がありますし、例え大人でも簡単に取り扱えるものとは、決して言えないからです。

第一、お風呂に入る時は、裸で入りますよね。

この時、もし、流しきれていなかった苛性ソーダが体についてしまったら――そんな状況すらあることを、忘れてはいけません。

同じ髪の毛の詰まりを落とすのであれば、市販のパイプクリーナーを使う・専門業者に依頼することを検討したほうが、ずっと安全だと言えます。

また排水管以外のお風呂掃除でも、苛性ソーダのような、一度の洗浄での劇的な掃除結果は得られなくても、重曹などの体に害のない弱アルカリ性の薬品で少しずつ汚れを落としていくか、それぞれの汚れに適した洗剤を使う方が、ずっと安心です。

苛性ソーダを使う時に守るべきことはどんなこと?

それでもなお、苛性ソーダを使った掃除をしたい、と思うのであれば、以下の点は絶対に守りましょう。

  • 身支度をしっかりと整える
  • ゴム手袋に、長袖のシャツ、長ズボン、靴下で素肌を多い、目をしっかり覆うゴーグル、そして必ず隙間のないマスクを着用する

    目に入れば失明の可能性があり、細かな粉や霧状の水滴を吸い込むだけでも、呼吸器に激しい炎症が生じるなどのリスクがある点は留意すること

  • アルミ・銅・鉄といった腐食に弱い金属にはカバーをする
  • 溶液を作る際には、ポリプロピレン製の容器を使う
  • 必ず水に苛性ソーダをゆっくりと、跳ねないように加える
  • 苛性ソーダに水を加えると、急激な化学反応が起き、大変危険です。

  • 苛性ソーダ溶液から出る蒸気を吸い込まない・部屋の中に拡散させないよう、換気扇の下で作業する
  • 溶液を混ぜる時は、水滴が跳ねないよう、柄の長いスプーンなどでゆっくり混ぜる
  • 掃除の際にも必ず換気を行いつつ、かつ、他の洗剤などが絶対に混ざることがない状態で使う
  • 使用後は溶液を完全に洗い流す
  • 万一苛性ソーダが肌に付く、吸い込んでしまったなどの事故が起きた時には、速やかに病院での診察を受ける

お風呂の排水口が詰まらないよう、日々の手入れを忘れずに

勿論、お風呂掃除の専門家などは、苛性ソーダと高圧洗浄機などを使い、詰まり掃除などを行います。

しかし、それはあくまで、劇物の取り扱い知識を持ったプロの作業です。

最近、広く普及している、重曹やクエン酸といった、体に害のない(少ない)薬品を使った作業とは、全く違うものだ、という点は忘れてはいけません。

そしてそもそも、苛性ソーダが必要になるほど、排水口に頭髪などが流れ込まないよう、小まめに掃除をする、ヘアキャッチャーを目の細かいものに交換する、使い捨ての紙状のヘアキャッチャーと併用するといった手段を用いたほうがいいでしょう。

余談ですが、お風呂場の詰まりの第一の原因は、排水管に流れ込んだ頭髪が、先に排水管に付着していた石鹸カスや皮脂汚れに絡みつき、その塊がだんだん大きくなることです。

そして、例えばシャンプーの詰め替え容器の、ちぎった先端部のようなビニール片が原因にこともあります。

ビニール片は例え苛性ソーダでも溶かしきれませから、絶対流れ込まないようにしましょう。

苛性ソーダに限らず、掃除の手間が少なくなるという点だけで掃除道具・薬品を選ぶのではなく、しっかりと使用した時のリスクに対しても知識をつけ、適したものを選びましょう。

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